EA21RカプチーノF6B搭載への道 

−F6Bカプチーノ製作記−

  F6Bエンジン起動 

 やはり、インジェクターが1個増えることが原因でエンジンを蘇らせる部品が起動しません。

配線を間違えたのかと色々と実験してみましたが間違っているわけではなく、長期保管の為かインジェクターニードルが固着していました。予想はしていましたが・・・

解決方法はいろいろありますので、心配はしていません。

最初は不具合を見つける為サブハーネスのテーピングを全て剥がしてどのような番地で配線が付されているか確認していきました。

全部の配線を調査した方が複数チェックできますし、不安を抱えたまま走る事はしないで済みます。

しかし、かなり面倒な作業になります。

CPUに直結する部分ですので慎重に作業しなければなりません。予備の部品はありませんし、少々怖さもありました。

もっとも基本を守れば壊れることはありませんので、大胆に作業していきます。

さて、テーピングを剥した後、僕が作ったF6B専用配線図集と現物ハーネスとサブハーネスとの比較をしてみました。

やはりスズキで作った配線図集では全くだめです。最初から分ってはいましたがこれは酷すぎです。

冬の深夜作業が多くなりまして(しかも外は氷点下、しかも雪が降っています)

暖房がない場所での作業は、とても辛かった。

丁度その頃は年末年始休暇に入った頃でして、ハーネスの不具合くらいすぐに分ると思っていました。

暇つぶし程度に考えていて時間も十分にあると思っていたのが、ものすごい労力と時間が必要になってしまいました。

これはCPUそのもののチェックも必要かもしれないと、ギャングアダプターを用意することにもなりました。

やっと、センサーとハーネスが結合して、機能チェックをすると診断OKとのサインが出ました。

  F6Bエンジン起動「一度目」

ついに、エンジン起動の瞬間です。一度エンジンが起動できればまた走り出す時が近づきます。

緊張の一瞬です。

満を持して、カプチーノのキーシリンダーにキーを差し込みました。バッテリー接続はOK。

よし、エンジンかかってくれ!

「キュルルルル・・・・」

エンジンは目覚めませんでした。

「キュルルル・・・」

やはり駄目か・・・

何故なのか考えてみました。

配線も確実に合っているし、燃料も・・・来ている・・・

ひょっとして!これか!

イグニッションキーに合わせてみました。

ヒューエルポンプの音が甲高い音で「うぃぃぃぃ〜ん、ゴボゴボ」という悲鳴のような音がします。

「うぃぃぃぃ〜ん、ゴボゴボ?」

はぁ〜(燃料がゼロ、かも)

仕方ないです。メーターパネル繋いでみて燃料残量確認してみます。

12V投入してもゲージが一向に上がってこない。

それどころか下がるではありませんか

やはり燃料がないことが分りました。

クソK6Aエンジンを降ろした後、燃料タンクにはほんの少しですが燃料が残っていたのですが

すっからかんになるまで抜けてしまったのだと思います。

試しにもう一度エンジン起動

「ごぼごぼごぼ・・」

ダメだ、こりゃ(笑)

早速、24時間営業しているセルフスタンドに大急ぎ

  セルフスタンドで

近所のセルフスタンドに到着して赤タンに満タン給油してすぐ帰りたい心境になっていました。

ここでお気づきになると思いますが、セルフスタンドで赤タンに直接給油は禁止されていますが

僕は資格もっているのでOK、直接給油しました。(本来、資格をもっていてもダメなものはダメ、現場による)

早々にスタンドを出て、F6Bエンジンの音はどんな感じの音を奏でてくれるのかとても楽しみな状況のまま

早く、エンジンをかけてみたい。というはやる気持ちを抑えつつ、夜中深夜1時すぎにガレージに帰ってきました。

よ〜し、これで「音」が聞けるぞ

また、ここでお気づきになると思いますが、別のクルマがあるということは、そのクルマから燃料を拝借すればいいんじゃないですか?といわれそうですが、カプチーノのタンクに入っている燃料は、季節商品ですから燃料は新しいものの方がよいです。

それに真冬の燃料の方がクルマにも良いですし、初めて聞くエンジンの音です。せめて燃料くらいは新油でしたいと思ったわけでございます。

  ついにエンジンが蘇る

燃料をカプチーノに入れて、早速キーを回します。

緊張の一瞬です。

エンジンオイルは入っている。

ケーブル、配線もしっかり接続済み

一度深呼吸して、キーを回しました。

「ごぼごぼ・・・ウィィィン」(燃料がエンジンに回った証拠です)

「キュルルルル」

「ブルッ!」

おおっ!

これは、エンジンが蘇る時の音ではないですか。

よし、もう一度キーを回しました。

「キュ・・・」

あれ?

バッテリーが死にました。

こいつ、まだ、意地を張るか!

  ついに奥の手「エンジン起動二度目」

クソ〜ッ!

長期間バッテリーを放置していたことが原因

バッテリーそのもがお亡くなりになっておりました。

ここで充電器の登場となりますが、フル充電するにしても、急速充電しても30分はかかります。

現在、1時30分、外はめちゃくちゃ寒い!

手先も凍って感覚がなくなります。

バッテリーを買いに行くにもセルフスタンドみたいに24時間営業、コンビニでも売っていません。

朝まで待つ・・・

待てません!

ここまでじらされては性格の悪い女以上だ。

あまり使いたくない機器ではありましたが

セルチャージで強制起動(バッ直といいます)

「キュィィィィン」(コンデンサ急速充電の音)

「キュルルルル」

「バン、ブルッ!」

やはり死んだバッテリに鞭打っても音沙汰なし。

仕方ない。こうなったら一番効果的な連車(並べてバッ直)でGoに決定。

パワーケーブルをつないで強制的に起動させることにしました。

エンジンがなかなかかからないので、IG信号が入力されていないかもと少々疑ってみたのですが、CPUには電源が入力されているのはチェックしました。

今度はテスターをIG信号に入力されているか分るようにそのまま接続して、キーを回しました。

今日、最後のトライです。

かなり寒いので死にそうになっています

燃料が確実にヘッドに回るようにスタータを連続起動させ

再度深呼吸して、キーを回した

「キュルルル・・・」

「ヴォォォォ・・」「フォンフォン・・・」

やりました!ついに起動しました。深夜1時47分ジャスト寒い夜更けの中

F6Bエンジンは2年ぶりに復活しました。

F6Bエンジンってこういう音なのか、とてもうれしい!

K6Aのバランスのないアイドリングではなく、4つのピストンがバンバンと高い音を奏でながら

極小の振動で安定した制御でアイドリングを行っている。

電子武装化、シーケンシャルなんていらないですよ。(必要によってはMOTECも準備済)

わずか数分間の出来事。

  大ニュース

1月のとても寒いある日の出来事。

ふと夜空を見ました。

毎年お目にかかっている「オリオン」がとてもきれいな表情をして見える。

この日、この時は一生忘れることはありません。

エンジン起動の時はいつも緊張する。

しかし点火起動、連続運転ができるという安心感、そしてうれしさがこみ上げてきます。

エンジンが生き返るのだから。

この感動は何度味わってもうれしい。

特に今回はF6Bエンジン+カプチーノ

しかも超高性能エンジンに生まれ変わって。

その後、少しエンジンの音の余韻にひたりながら自宅のベッドに戻りました。(寒かったし、風呂もしっかり入って)

やっとここまで来たという安堵感に迎えられながら、高まる感情に包まれながら眠りにつきました。

F6Bエンジン起動を待ち望んでいたのは僕だけではありません。

新しい超高性能バッテリー用意しなければ。

と眠りに落ちる寸前、出てきた言葉です。

そういえばF6Bのエンジンサウンドって始めて聞いたんだっけ

「ム−ブ」「コペン」ではないか(F6Bより音低い)

しかし基本的な音はダイハツと全く異なる

プルプルいっている3発エンジンには絶対達成できないフィールである

4発エンジンだけ与えられた音なのです。


F6Bエンジンに新たな問題発生
エンジン起動に成功しましたが、新しい問題が発生。

水が循環しないのです。

水温計を見るとオーバーヒート寸前になる。というかそれ以上温度上昇しようとします。

オーバーヒートはエンジンに致命傷ですから、安全を考えて水が回るように加工しなおしていきます。

おそらく、エアがラインに混入しているのでしょう。


F6Bエンジン搭載不可・・・か?
ラインのどこかにエアが噛んでいることは間違いありません。

水周りを大幅に改良してありますので、エンジン起動後はおそらく水で苦労するだろうなということは覚悟していました。

原因はサーモスタットと配管形状の一部に問題があって、それを解決する方法を考えました。


諦めない気持ち
まずは、サーモスタットケースから分解スタート。

工具が何とか入るスペースがある。補強の為に追加したステイも完全に分解することが出来ました。

しかし組み付ける時は同じ方法では組めません。

エンジンを載せる前は何となしに工具スペースが普通にありましたが、今は全くノースペース。

しかも今回は手が入る余地すらありません。

とにかく、今は組立のことより、分解が先です。

原因はおそらくサーモスタットケース本体にありそうです。

二次的な研究もありますので、原因追究するためには組立のことは後回しに考えます。

分解した部品を眺めながら、どうして発生したのか原因を考えました。

何故この不具合が発生してしまったのか。

2つ要因を挙げてみましたが、やはり的中しました。

サーモ不良、サーモケース形状不良でした。

サーモは新品購入しているので不具合は発生しないだろうと思ったものの、不具合品でして、弁が開かない。

こちらはディーラにクレーム交換です。

しかしサーモケースは良品に向けた再加工が必要です。

まずはサーモケースキャップの加工からスタートしました。

エアが完全に抜ける方向を考えながらの工作。

次の日の深夜
サーモスタット関連パーツの加工が終了し現在僕のデスクの上にあります。

改良前は特殊な形状すぎてエア混入する可能性が高いものとなっていました。

それを完全排出に近い状態で改良することが出来たと思います。

明日、時間を見て組み付ける。

また、寒い中やるしかないのか・・・

予想では完全に水は循環するはずです。

結果が待ち遠しい。

それから、まだ車速センサの電圧設定調整等、細かい部分は残ってしまっていますが走行には支障は全くないので確実に作動することが大前提ですね。

多分明日、問題は解決して普通に走れるはずです。明日が待ち遠しい。


  クーラント&クーラント

エンジン起動には成功したものの、少しの間作業できない日々が続きました。

水は回りますが、まだ納得できない。

超高速域で思いのままに走れないからです。

そこでもう、奥の手、気持ちを素直にしてサーモレスでLLC循環するか確認することにしました。

一度走行テストしてみて、再度全体部品の不具合なのか、単品部品の不具合なのか、それとも構造自体に問題があるのか判断してみようということでサーモレス走行を実施してみました。

「やった!」完全にクーラントは循環している。

というより絶対的に循環するのは分かっています。

しかし季節的に問題があります。これが冬なら完全にオーバークールです。

一度目のトライで部品不具合ではなく、やはりサーモスタットケースに問題が残っていまして

ケース本体を新設する方向で動き始めました。

まだまだ小さな不具合があると思います。

しかしそれも今の僕ならば必ず乗り越えられる。

技術も技能も若かりし頃より格段に向上していることを感じているからです。

クーラントにせかされ、クーラントに泣かされましたが、動作確認出来たのは明け方午前3時、4月の終わりだった。

だけど、これで自由に走り回れます。

超高速行も安定して走れる。

パーツ加工作業の結果
さらに気になる点を解消するために一部改良を施しました。

再度、新型サーモケースを組み込みエンジンを起動させてみました。

ガスケットだけで何枚新品を使ったことか・・・

実際に公道は走れません。クーラント不具合でオーバーヒートは完全に防げたかどうか分らないからです。

今度は新型ケースですので確実に循環しているようです。

実走行可能になったと判断して公道に出てみることにしました。

一応、公道テストは警察に捕まらない範囲で実施しています。

国道や県道も走ってはいけません。

つまらないことで捕まってしまっては面白くありませんし、これから公認車検も取得するわけですからひとつひとつ

日本に一台しかないクルマを実現する為にやるべきことが数多くあります。

テスト走行した結果、一定温度まで上昇しその後下降し、安定状態。

まだ、エンジン本体のナラシは終わっていませんので、単なるラッピング走行で抑えておきました。

これでやっと安心して走れるようになったのです。冬もホットな状況で走れるのです。

そして実走行テスト
新品ケースのテストが良好、合格しましたので本当に最後の最後、特定の場所を借りてF6Bエンジンによる本格的な走行テストを行いました。

エンジンフィールはK6A、F6Aでは達成できません。

カプチーノの資質をそのまま生かした走りが実現。

F6A、K6A、クソK6Aとは比較にならないくらい乗りやすい。

そしてNAエンジンのような吹け上がり

F6Aのようなとても好感のもてる太いトルク感はありませんが、F6Aは回転が高くなるといきなりパワーダウンします。

その点F6Bは違う。高回転になるほどパワーが出せる、ダウンしない。

F6Bはフラットトルクで6年前にイメージした通りの仕上がりとなっていました。

タービン、マフラーとの相乗効果で乗りやすい。

これでステアリングがパワステ付きであれば、文句なしです。

ナラシ運転でこの好印象。

絶対3発エンジンでは実感できるフィールではありません。

音、振動面、回転立ち上がり全て良し。

ボディにも相当優しい仕様です。

以前、ディーラーで試乗したダイハツコペンも比較にならないくらい楽しいエンジンです。

そりゃそうです。

F6Bを自分で組み、搭載しそれを今走らせているのですから。

感動のレベルが違います。

音を通して感じるもの、それは6年という長い歳月をかけて完成させた、EA21R改F6Bカプチーノ。

一人で行う作業のその楽しさは、多くの言葉を使っても伝えきれません。

走り出すことができた今、僕の思うところにいつでも行ける!

今まで車体攻撃態勢にあったクソK6Aが消えて、正確無比なF6Bへ。

車体に優しく、とても楽しい仕様に変身させることができたのです。

ハンドパワーで、全ての作業を貫き通した。

たいへん疲れたましたが、とても有意義で楽しい5年8ヶ月でした。

実際は、最終目標まで達成していません。

走り出すことはできても法律に叶った仕様でなければ単なる置物。

今日、僕の住む町で桜の開花宣言が出ました。

桜の花は何時見ても新鮮な気持ちになります。

桜の咲く季節が来るたびにこの楽しい出来事を思い出すことでしょう。

一生忘れることの無い感動。桜と一緒に思い出します。

さて、整備機材の後片付けが待っている・・・。

重いんだよなぁ〜

この勢いで公認車検に挑みます。


公認車検の準備
公認車検というと、高い関門というイメージがありますが

実際、そのイメージは正しいと思います。

特に僕が住んでいる地域では車検に煩い専門官(僕から見て、この人たちはしょぼいですけどね)が多い。

一時的とはいえ、その中の集団に入り込まなくてはなりません。

公認車検の準備として必要なものは、1冊の本から始まります。

数十年前に出版された本が大変役に立ちます。

もっとも、これだけでは時代にあっていませんので、専門書で使えるところを見つけていきます。

分らなければ、車検場の職員に直接お尋ねください。多分教えてくれると思います(無知な職員多い)

書類の準備ができなければ、車両はあっても車検に合格できません。

まずは、書類の準備から始まります。

陸運事務所に書類を買いに行きました。

みなさんは、独自で公認とれないと思いますので業者任せになるでしょう。

こんな端切れ書類のために高いお金を払う。

専門的知識がないと無理な世界ですから高額になるのは当然かもしれませんが

業者さんはボリすぎですよ。

いきなりウン百万請求するアホな業者もいますし。(工賃、材料費込みなんでしょうかね)

僕は数十円で合格する自信があります。(焦ってますけど・・・)

陸運局で書類を買ってきて、その帰り道に本屋に立ち寄ってマンガの本を・・・ではなく

数学系の本が要りまして1冊購入。

ちょっとだけ分らない数式があったもので、何かの足しになると思いまして購入してきました。

書類代は数十円の出費で済みました。

後は、僕がやってきた技術と技能を使って普通に申請するだけです。

一つの前段階は確実にしておかなくてはなりませんよ。

車検に合格するためのものです。


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